ウェブサイトで運用を始めた避難ルートマップを説明する島根県原子力防災対策室の小村章治室長=松江市殿町、県庁
ウェブサイトで運用を始めた避難ルートマップを説明する島根県原子力防災対策室の小村章治室長=松江市殿町、県庁

 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の重大事故時に備えた住民の広域避難計画で、各地域から島根県内外の指定避難先までの経路がウェブサイトで確認できるようになった。県が21日に運用を始めた。複数のルートや渋滞情報、沿道の給油所の位置などが地図上に表示される。

 県は東京電力福島第1原発事故を教訓に、原発30キロ圏内の松江、出雲、安来、雲南4市を対象にした広域避難計画を2012年11月に策定。島根、広島、岡山3県の61市町村を避難先に指定し、幹線道路を中心に避難経路を定めた。

 だが、地域ごとの詳細な避難先やルートは資料に文字で掲載したのみ。分かりにくさが指摘されていた。

 サイトの地図はパソコンやスマートフォン、タブレット端末で閲覧できる。居住している市と地域名の項目を選択するか、バス避難者が集合する「一時集結所」を地図の拡大画面で選ぶと、決められた避難先までのルートを水色の線で複数表示する。

 放射性物質の汚染状況を調べる検査会場や、沿道のコンビニエンスストア、給油所のほか、渋滞情報、国の避難指示も確認できる。

 サイトへの同時アクセスは5万件以上に対応が可能。県はアクセスが集中してもサーバーが落ちない仕組みと説明している。

 事故時にサイトを見ることができない人にはテレビや防災無線、消防団の広報車といった手段で周知するとした。

 広域避難計画の対象は20年12月末時点で38万6378人。

 福島県の運用例を参考に約1200万円をかけてウェブサイトを構築した島根県原子力防災対策室の小村章治室長は「県民により分かりやすく、視覚的に伝えられる」と説明した。サイトのURLは、https://shimane-hinan-map.jp/ (平田智士)