全国政党を目指す日本維新の会の動向が、山陰両県でも関心を集めている。昨年10月の衆院選では地域組織がなかったにもかかわらず、比例では両県で計4万5千票超を獲得。参院選を見据え、鳥取県では県総支部を立ち上げ、追い風を確実なものにしたい維新に対して、他の野党は警戒感を強めている。

 「鳥取にも維新の風が吹きつつある」。13日に鳥取市内で開いた会見で、日本維新の会県総支部代表代行の空本誠喜衆院議員=比例中国=は強調した。

 昨年10月の衆院選では島根県で約2万5千票、鳥取県で約2万票の比例票を獲得。全国で議席を公示前の11から41へ伸ばし、衆院第3党に躍進した。

 2月には中国5県で3番目の地方組織を鳥取県に設立。6月の米子市議選で山陰両県初の公認候補として当選した国頭靖県総支部幹事長は、無所属だった4年前の前回選より約200票を上積む結果となった。選挙カーで松井一郎代表(大阪市長)と吉村洋文副代表(大阪府知事)の音声を流すと、振り向いたり、中には車の中をのぞいたりする人までいたという。国頭幹事長は「反応が薄かった世代からも手を振り返された」と風を実感した。参院選では浮動票の多い市部を中心に両県にゆかりがある比例候補者の遊説日程を調整している。

 6月18、19両日実施の共同通信社の世論調査では、比例代表の投票先は自民党の27・3%に続く、7・7%。立憲民主党の7・0%を上回った。

 立憲民主党鳥取県連の浜田妙子代表は維新支持の県内での広がりは限定的との見解を示しつつ「全国で議席を伸ばす現状を考えればいい流れではない」とし、政権批判の受け皿として競合を懸念。前回衆院選の県内比例票で維新の会の後塵(こうじん)を拝した共産党鳥取県委員会の岩永尚之委員長は「無視できない存在だ」と危機感を募らせる。

 (藤井俊行)