人を人として扱うこと。それは他者を他者として認めることと地続きだ。

 古川真人は土地に根付く人の記憶を丁寧に浮かび上がらせてきた。そこには「多くの人びとの声を響き合わせたい」という志がある。初長編「ギフトライフ」(「新潮」7月号)は、一見すると従来の作風を覆すようなディストピアSFだが、根底にある願いは同じだ。

 舞台は「企業」の管理のもと、人びとの...