10日に投開票された参院選は、政権与党の自民党が単独で改選過半数を獲得した。対抗する勢力の台頭は今回もなく、このままでは、次期衆院選も「政権選択選挙」になりそうもない。そうであるならば、かつて山陰では全県選挙区で複数の当選者を出していた中選挙区制度に戻す議論も必要ではないかと思う。

 「政党本位の争いで、政権を担える二大政党制をつくる」「政治にお金がかかる問題を解決する」の二つが、1996年の衆院選で小選挙区制度を導入した主な理由だ。

 これまで9回の選挙のうち、2005年に当時の小泉純一郎首相(自民党総裁)が、郵政民営化に反対した自民党議員を公認しなかった件は象徴的な事例で、そこへの反発をエネルギーとする形で、09年には民主党(当時)が実権を握る政権交代が起こった。しかし、12年に自民党が政権を奪還した以降は1強の状態が続く。小選挙区制導入のメリットは感じられない。

 国家の根幹である安全保障、原発などのエネルギー政策を巡り、...