第二章(十四) 智子

 しかし、すぐに再び目を伏せ、蚊の鳴くような声で真奈は言った。

「……好きだから……だから、大丈夫」

 夫の眼(まな)差(ざ)しが、ゆっくりと娘から衣装敷に落...