雲南市の創作市民演劇「永井隆物語」の映像に英訳字幕を入れる作業が進んでいる。同市三刀屋町で幼少期を過ごし、長崎の原爆で被爆しながら負傷者の救護に尽くした永井隆博士(1908~51年)の生涯を描いた作品。ロシアのウクライナへの侵略が続く中、全世界へ永井博士が願った平和を訴える。13日にインターネットで無料配信する。
(狩野樹理)
作品は市民有志による「雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト実行委員会」(吾郷康子委員長)が主催し、2021年4月に上演された。放射線を研究する科学者、医師、父、カトリック信者と、永井博士を多面的に表現しながら、ユニークな人柄にも触れている。
英訳は米国出身の雲南市国際交流員と市民演劇参加者が担当。「縁結び」などの日本独特の概念については、脚本、演出を手がけた松江工業高校の亀尾佳宏さんの思いを聞きながら翻訳を進め、6月半ばで終えた。
現在は雲南市と島根県飯南町を放送エリアとする雲南夢ネットの協力で映像に字幕を付ける作業中。雲南夢ネットのユーチューブチャンネルで13日午前9時に配信を始める。
市民演劇会場のチェリヴァホールの大坂亮館長(46)は「インターネット配信を通じて、地域の人だけでなく、世界中の人に永井博士の人となりと功績を伝えたい。知ってもらえる機会になる」と話した。