「あじさいロード」の愛称で親しまれる松江市美保関町の七類地区と法田地区を結ぶ林道沿いに、季節の花を楽しめる公園がある。近くの夫婦が2年前に私有地を整備。四季折々の花が楽しめる小さなスポットは、口コミや交流サイト(SNS)で広まり、ドライバーの人気を集める。(山口春絵)
公園は同町法田の内田厚子さん(77)が夫の鼎(かなえ)さん(80)と協力して造った。「あじさいロード」と呼ばれるようになったのも、厚子さんが町内のタクシー会社に勤めていた30代の時、通勤を楽しくしようと沿道にアジサイを植え始めたのが元。25年以上世話を続け、今では6種類100株が植わる。
2年前、ロード近くにある所有地で幼い子を連れた家族が弁当を広げていた。草が生い茂るのを気の毒に思い、鼎さんと共に季節の花々を楽しめる公園を造ることを決めた。以来、用事がなければ毎日水やりや枝切り、草取りをこなす。
園内の草花は春はスイセン、夏はバラやヒマワリ、秋はキクやコスモスなど約30種類。子ども向けに、ウサギやカエルなど動物の置物も並ぶ。5台分ほどの駐車スペースがあり、日本海を見下ろす位置にあるテーブルとベンチではフェリーや船が行き交う風景が楽しめる。
最近、うれしい反響があった。ある朝、作業に訪れると、ベンチに置き手紙があった。「来るたびにかわいい花や置物が増えてうれしいです。ありがとう」。見知らぬファンからの感謝状に「夢みたい。頑張って花を育ててきて良かった」と涙ぐんだ。
家族連れや大学生など、若い世代が見物に来るのがエネルギーになる。「子どもたちが2度も3度も『行こうよ』と言ってくれる場所にしたい」と、猛暑が続くこの夏も、手入れに励んでいる。