小中高校の夏休みが明ける9月前後は、勉強や人間関係の悩みを背景に子どもの自殺が増える傾向がある。学校再開に不安を抱く児童生徒は体調不良を訴えたり、宿題が手に付かなかったりする場合があるとして、専門家は「小さなSOSをキャッチし、学校以外にも居場所があると伝えてほしい」と訴える。
厚生労働省などの集計では、近年の小中高生の自殺者数は年300~400人台で推移し、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年が499人で過去最多。月別では8月や9月に増えることが多い。
「いじめを受けている子どもは腹痛や脱毛症、食欲不振などの体調不良を訴えることがある」と話すのは、教育評論家の武田さち子さん。外出を怖がり、人の目を気にする「視線恐怖症」となるケースも考えられるとして、保護者に目配りを求める。
子どもが「死」という言葉を口にした場合は特に注意が必要。武田さんは「まず保護者が心配しているという気持ちを言葉で伝え、子どもの話に口を挟まず、しっかり聞くことが大切だ」と強調する。
不登校の当事者を取材するNPO法人「全国不登校新聞社」の石井志昂代表理事は「過度な不安で宿題が手に付かず、夜眠れずにゲームなどに現実逃避する子どもがいる」と説明。保護者は、夜更かしを〓(口ヘンに七)るのではなく、その理由を考えることが重要だという。
石井さんも中学から不登校となったが、フリースクールの存在を知って居場所を見つけられた。登校が心配な子どもたちに対しては「少しでも学校がつらいと感じたら逃げてほしい。不登校になっても人生が終わるわけではない」と呼びかけた。