農業用水路の管理法について住民(右)の説明を聞く参加者=広島県庄原市西城町内
農業用水路の管理法について住民(右)の説明を聞く参加者=広島県庄原市西城町内

 JR木次線と芸備線が接続する広島県庄原市内でこのほど、旅行者が地域に飛び込んで住民と交流する「ローカルダイブ」のモニターツアーがあった。広島駅から芸備線に乗って参加した30人が農業や酒造り、食といった中国山地の日常に触れ、新しい旅のスタイルを体感した。

 ツアーは、庄原市芸備線・木次線利用促進協議会が鉄道の観光利用と将来のインバウンド(訪日客)受け入れ拡大につなげようと企画した。

 5コースを用意し、夏の農村の生活を体験するコースには8人が参加した。明治中期までたたら製鉄で栄えた集落を地元住民の案内で散策しながら農作業や地域の歴史文化について学び、鍛冶屋跡では「かなくそ」と呼ばれる、たたら製鉄の鉄かすを拾い、土産として持ち帰った。児玉秀是さん(81)=広島市安佐北区=は「通常の観光ツアーに比べて地元の人の暮らしがより身近に感じられ、深く印象に残った」と話した。

 利用促進協は秋冬にもモニターツアーを開催し、商品化を目指す。木次線でつながる島根県奥出雲町などとの連携も検討する。庄原市いちばんづくり課の足羽幸宏課長は「芸備線の利用増につなげられるよう完成度を高めたい」と話した。
      (新藤正春)