地方銀行、信用金庫、信用組合などの地域金融機関が、地域にどう貢献しているのかを説明するのは簡単ではない。

 地域経済の要は中小企業である。企業活動が生産し、設備投資し、雇用を生む。さらにそこで働く個人の生活、消費に広がっていく。結婚や出産、子育てにも企業は大きな役割を果たしている。

 人口減少と少子高齢化で、このままでは沈みかねない中小企業の産業基盤を地域金融機関がどう支え、成長に転換させるのか、その「貢献力」が問われている。

 この貢献力を科学的に解き明かそうと挑む研究者がいる。京都大学発のベンチャー企業データ・ルーペの吉原清嗣社長だ。

 吉原氏は地域金融機関で30年間勤務した。2007年、京都の取引先の「大旦那」から指摘を受けた。

 「あなたは、金融機関と取引した結果、われわれ企業がどうなったのかを調べるべきではないのか」

 これが吉原氏の人生の転機となった。その後、...