月1回、松江市内で沖縄料理屋を開いている岸本廣美さん=松江市末次町
月1回、松江市内で沖縄料理屋を開いている岸本廣美さん=松江市末次町

 気分だけでも沖縄旅行を-。新型コロナウイルスの感染拡大の長期化で旅行が制限される中、松江市内で月1回、沖縄料理屋を開く女性がいる。那覇市出身で今春、松江市に移住した岸本広美さん(31)。「島根と沖縄の懸け橋になりたい」と、故郷の沖縄料理居酒屋で店長を務めた経験を生かし本場の味を振る舞っている。 (片山大輔)

 岸本さんは、那覇市の居酒屋チェーン店で高校時代にアルバイト。卒業後はアパレル会社勤務や大阪市への移住を経て20歳で那覇市に戻り、チェーン店で再び勤務。23歳の時に同僚と2人で個人店を立ち上げ、店長兼店舗責任者として3年間、店を切り盛りした。

 退職後は横浜市などで暮らし、沖縄特有の温暖な気候ではなく、四季と日本らしさが感じられる定住先を探していたところ、移住者向けマッチングサイトで松江の存在を知った。

 城、茶、和菓子など歴史文化に彩られた水都に引かれ、今年4月に市地域おこし協力隊員として移住。沖縄文化の発信と交流の場をつくろうと7月、市役所近くの古民家活用の複合施設「SUETUGU」(スエツグ、松江市末次町)で沖縄料理屋を始めた。

 1人で調理し、ラフテー(豚角煮)やゴーヤーチャンプルー、島ラッキョウの天ぷらなど25~30種類のメニューを用意し、3千円で5品、4千円で12品、5千円で来店客が満足するまでの品数を提供。価格にはオリオンビールや泡盛など飲み放題料金を含む。

 7月は2日間で約50人、8月は5日間で約100人が訪れ、約20席の店内は常に満員。「沖縄出身で懐かしい気持ちになった」「今度イベントで沖縄料理を出そうと思う」といった来店客の声が何よりの喜びで「島根と沖縄の魅力を発信し、双方を盛り上げたい」と笑顔を見せる。

 9月28日~10月1日の4日間で開店を予定し、営業時間は28、29の両日が午後6~10時、30、1の両日が同5~10時。