小説家・松本清張没後30年を記念し、島根県奥出雲町亀嵩の玉峰山荘で映画やドラマになった「砂の器」のロケ風景を切り取った写真展が開かれている。撮影の合間にキャストがみせた素顔や町民との交流の様子など約150点が、来場者を楽しませている。無料。30日まで(29日は休業)。
(狩野樹理)
砂の器は、亀嵩駅(奥出雲町亀嵩)が物語のキーワードとして登場し、町内は映画や民放ドラマの撮影地となった。駅近くの湯野神社参道入り口には、来町した清張さんが揮毫(きごう)した石碑がある。
1974年公開の映画は、刑事の今西栄太郎役を故丹波哲郎さん、ピアニスト・作曲家の和賀英良役を故加藤剛さんが演じた。
展示では、駅看板を「亀嵩駅」に掛け替えた八川駅前でエキストラと記念撮影する丹波さんや、亀嵩駅に見立てた出雲八代駅ホームで別れのシーンに臨む巡査・三木謙一役の故緒形拳さんと本浦千代吉役の故加藤嘉さんの写真が並ぶ。亀嵩駅のホームに立つ清張さんの写真もある。
住民から写真を集め、企画した亀嵩観光文化協会の杠哲也会長(59)は「砂の器は亀嵩の宝。子どもたちや若い人に伝えていきたい」と話す。
18日は、午後2時と同6時半から、玉峰山荘で奥出雲町にゆかりのあるピアニスト・大野浩嗣さんと子どもたちによる無料コンサートがある。