医療機関が新型コロナウイルスに感染した全ての人の情報を行政側に届け出る「全数把握」が26日に全国一律で簡略化されることを受け、島根県が21日、基礎疾患などがなく届け出の対象外となった感染者の自宅療養を支援する「しまね陽性者登録センター」を、新設する方針を明らかにした。症状の急変など自宅療養に不安を感じる感染者が自ら名前や連絡先を登録することで、健康観察を受けることができる。26日から稼働する。

 県によると同日以降は、個人情報を届け出る感染者を高齢者や基礎疾患のある人、妊婦などに限定。日々の新規感染者のおよそ8割は届け出対象から外れる。

 対象外の感染者を支援するのが県の新設する登録センターで、医療機関の案内に沿って感染者が自ら連絡し、個人情報を登録する。健康観察ツール「My HER―SYS(マイ・ハーシス)」にも日々の健康状態を自分で入力し、既存のフォローアップセンターが健康状態をチェックして症状の急変に備える。食料など支援物資の配送希望を伝えることもできる。

 県は医療機関の外来診療が逼迫(ひっぱく)している状況にないとして、検査キットなどで陽性を確認した人も含め、まずは医療機関を受診するよう要請している。このため、政府が想定してる登録センターへの医師の配置は行わない。

 届け出対象となる感染者はこれまで通りの入院調整を経て入院や宿泊施設、自宅での療養に振り分け、保健所による接触者調査を行う。

 県感染症対策室の田原研司室長は「登録センターを通じて県民の健康を守っていく。感染した人は登録してほしい」と呼びかけた。

 登録センターの連絡先は電話0570(088)760。受付時間は午前8時半~午後8時。県のホームページ上で公開するQRコードからも登録できる。

 先行して全数把握を簡略化した鳥取県では、届け出対象外の感染者の約95%が同様のセンターに登録しているという。

 (佐々木一全)