日常的に家族の世話をする子ども「ヤングケアラー」の支援を考える研修会が6日、米子市内であった。一般社団法人ヤングケアラー協会の代表理事宮崎成悟さん=東京都在住=が、自身の経験を踏まえて講演し、当事者が助けを求められるつながりを用意しておく有用性を説いた。
厚生労働省の2021年調査によると、中学生の17人に1人がヤングケアラー(5・7%)。宮崎さんは、「共働き世帯の増加など家族形態の変化が背景にある」と説明した。
ヤングケアラーの就職支援などに携わる宮崎さん自身も、15歳から難病の母を介護。親戚の協力で大学に入学できたものの、介護との両立ができず、大学に行けなくなったという。
母の介護を友人には言っておらず、アルバイトが忙しいとうそをつく日々を「自由に人生を過ごせば母が苦しみ、母を助ければ自分が苦しむという矛盾に悩んでいた」と振り返った。
その上で、学校に行けないなど緊急度が高い当事者の支援は最重要だが、学校には行けても部活や友人とのつきあいができずに苦しむ緊急度が中くらいの当事者は、「誰かに相談するほどでもない」と思いがちで、支援の手が届きにくい課題がある、と指摘。「当事者が助けが必要だと思ったときに呼んでもらえる『支援の糸』というつながりを、事前に多くの場所で垂らしておくことが大事だ」と強調した。
米子市などが開き、約100人が聴いた。
(坂上晴香)