無農薬で育てた白ナスを手にほほ笑む吉岡大輔さん=鳥取県大山町長野
無農薬で育てた白ナスを手にほほ笑む吉岡大輔さん=鳥取県大山町長野
ナスピーマンのみそ炒め、わさび菜のおひたし、ビーツのきんぴらなど8種のおかずが入った弁当
ナスピーマンのみそ炒め、わさび菜のおひたし、ビーツのきんぴらなど8種のおかずが入った弁当
ケール、有機豆乳、有機バナナ、自家製甘酒が入ったグリーンスムージー
ケール、有機豆乳、有機バナナ、自家製甘酒が入ったグリーンスムージー
無農薬で育てた白ナスを手にほほ笑む吉岡大輔さん=鳥取県大山町長野
ナスピーマンのみそ炒め、わさび菜のおひたし、ビーツのきんぴらなど8種のおかずが入った弁当
ケール、有機豆乳、有機バナナ、自家製甘酒が入ったグリーンスムージー

 鳥取県大山町長野にある1ヘクタールの畑で、50種ほどの野菜を育てる吉岡大輔さん(33)。前回訪ねたカレー販売「mochi(モチ)」さんの紹介だ。

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 山陰両県で開かれるイベントで「LUCK HILL(ラックヒル)」の屋号で育てた野菜や、ジュース、弁当を販売している。

 7年前、妻と関西地方からIターンした吉岡さんは、特別支援学校の教員だった。両親も同じ職業で自然とその道に進んだものの、違和感を覚えるようになった。子どもに世間の常識を当てはめて叱ったり、勉強を強いたりする現場に、気持ちが追い付かなくなった。自分がしたいことを突き詰め、農業の道に入った。

 教員時代、食品添加物や農薬が子どもの成長に悪い影響を及ぼすことを耳にしていた。松江市内で2年半、農業研修した際、使用する農薬の量に驚き、有機栽培で育てようと決めた。

 知人の紹介を受けて借り受けた畑は、海と山に囲まれ、農地には適した土壌。不耕起、除草剤不使用の農法も採用しており、虫に食われてほぼ全滅したこともあれば、大規模経営の農家に「家庭菜園」だと言われたこともあった。

 それでも「新鮮で野菜本来の味が強い」と気に入ってくれる常連の飲食店の声に励まされた。一般の流通に乗せないため、イベントでは取れたての新鮮な野菜を届けられる。

 必要な許可を取り、弁当やジュース、菓子も調理、販売。メニューを決めて野菜を収穫するのではなく、取れた野菜で何を作るかを考えるため、新しいメニューが生まれる。

 最近は白ナスのポタージュが人気。どんな味だろうと飲んで気に入ってくれた客が、白ナスを購入してくれる、そんな瞬間がとてもうれしいという。

 昨春アルバイトをやめ、農業だけで生計を立てられるようになった。「毎日地面にはいつくばって野菜の手入れをする地味な生活です」と話す吉岡さん。一つが虫に食われると一列が食われる連鎖が起きやすい。そんなとき「大変だ、と野菜同士が言い合うのが聞こえるんです」とほほ笑んだ。

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 本紙は情報部・坂上晴香、SデジではSデジ編集部・宍道香穂の「はるかほ」コンビで週1回、お届けします。

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 直近のイベント出店は、30日午前10時~正午、米子市四日市町のレンガ通り沿いであるイベント「earth marche」で、野菜やグリーンスムージー(430円)などを販売(野菜の収穫具合によって変更あり)。11月13日午前7~9時、松江市苧町の「松江朝市」にも出店予定。問い合わせはインスタグラム(lickhill_official)。