鹿よけ防護柵の支柱をつり下げ、上昇する大型運搬ドローン=島根県美郷町上野
鹿よけ防護柵の支柱をつり下げ、上昇する大型運搬ドローン=島根県美郷町上野

 島根県美郷町が、非鉄金属大手・古河電気工業(東京都)とドローンを使い林業を省力化する実証実験に取り組んでいる。人力に頼る植林用の苗木や資材の運搬を大型ドローンに代行させる試み。町内の現場に導入し、従事者の負担軽減につなげる。

 大型ドローンは直径2・8メートルで同社傘下の古河産業(同)とメーカーが共同で開発した。時速20キロで飛行し、重さ49キロまでの荷物を運べる。

 このほど、美郷町上野の山林で苗木の食害を防ぐ鹿よけ防護柵の支柱やロープなど約10~40キロの資材を運ぶ試験飛行をした。出発地から約350メートル先の目的地まで、あらかじめ入力したルートをトラブルなく往復。所要時間は3分程度で、人が運んだ場合の約10分の1で済んだ。

 今後、町内でドローン操縦者を育成し、早ければ2023年度に導入する。町美郷バレー課の松島豊和係長は「負担軽減に加え、林業の担い手確保にもつなげたい」と話した。

 実証実験は、町と古河電工が20年に締結した包括連携協定の一環。災害時の救援物資輸送や物流でも大型ドローンが活用できないか検討している。

  (佐伯学)