昨シーズン、境漁港に水揚げされたズワイガニ=2021年11月7日、境港市昭和町
昨シーズン、境漁港に水揚げされたズワイガニ=2021年11月7日、境港市昭和町

 サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表が発表された。26人の顔触れに大きなサプライズはなく、やや盛り上がりに欠けた。かつての三浦知良や中田英寿、本田圭佑など、ファンでない人にも名が知れたスター選手がいないのだから仕方ない。1次リーグで強豪のドイツ、スペインに番狂わせを起こして、世間の注目を集めたいところだ▼一方、こちらの〝代表〟も地味な船出となった。鳥取県が今夏、新たに20種の「県魚」を制定したと発表したが、知る人はまだわずか。長崎県の12種を大きく上回り、全国最多という話題性がありながら、もったいない▼聞けば、これまで鳥取県の県魚はヒラメの1種だった。しかし県が昨冬、県の魚としてイメージする水産物を県内外でアンケートしたところ、県外者の半数近くが「分からない」と答え、認知度不足が浮き彫りに。改めて販売のプロにお薦めの水産物を聞き取り、四季の県魚を指定するに至った▼ちなみにアンケートで1位だったのは、漁がきょう解禁された松葉ガニ。「蟹(かに)取県」のスター選手は、今季も資源量不足で〝高根の花〟となりそうだが、なんとか食する機会を見つけたい▼このほか、冬の県魚には親ガニ、カレイ、ブリ(ハマチ)、マダラが顔をそろえる。全国においしさを知ってもらうには、まずは地元で存在感を高めたい。地魚の消費拡大の未来は食卓から始まる。(文)