丸由百貨店の買い物袋や包装紙を紹介する担当者=鳥取市今町2丁目
丸由百貨店の買い物袋や包装紙を紹介する担当者=鳥取市今町2丁目

 いくらいい商品でも名前がしっくりこないと売れないものらしい。37年前、伊藤園が世界初の缶入り緑茶を発売したものの、売れ行きはイマイチだった▼当時の商品名は「缶入り煎茶」。味はよくても「煎」の字が読めないという意見が多く寄せられ、別の商品のテレビCMでベテラン俳優が口にしたせりふに商品名を変更した。それが「お~いお茶」。分かりやすさで親近感を高め、売り上げも急上昇。今も主力商品として君臨する▼王子ネピアの保湿ティッシュ「鼻セレブ」も同様。当初は「モイスチャーティッシュ」だったが、なかなか浸透せず切り替えた。消費者に訴えるインパクトも大切なのだろう▼さて、こちらの「変更」はどんな効果を生み出すか-。山陰両県に関連した来年1月の社名変更が相次いで発表された。安来市に主力工場を持つ日立金属は日立グループを離れるのに伴い「プロテリアル」に、電子機器製造の三洋テクノソリューションズ鳥取は「LIMNO(リムノ)」にそれぞれ変わる。慣れるまで時間がかかりそうだ▼小林旭さんの懐メロ『昔の名前で出ています』を想起させるのが鳥取大丸。商号、商標の使用契約終了に伴い9月、創業時の「丸由(まるゆう)百貨店」に変更した。名前は古くても店名にちなんだ「○Y○U」のロゴを配した買い物袋は洗練された印象だ。新たな名前で出ています-。しっくりくる戦略も欠かせない。(健)