山陰両県を含む全国の警察が自転車運転の取り締まりを強化した。「自動車対自転車」だけでなく「自転車対自転車」や「自転車対歩行者」の事故が深刻化している▼特に、初心者が扱っても平地で時速30キロ以上を簡単に出すことができるロードバイクは、ミニバイクと同等のスピード感がある。これが歩道を疾走することは、歩行者にとっては自動車が走っているのと何ら変わらない▼自転車が歩道を通行できるのは、自転車通行可の標識がある場所や、一定年齢の子どもやお年寄り、車道を走るのが危ないと感じた場合などに限られる。信号無視や車道の逆走(右側通行)も含め、取り締まりに目を光らせるのは当然だろう。ドライブレコーダーが普及している。自転車を扱う人も「常に見られている」と思ったほうがいいだろう▼ただ、自転車が歩道を走らざるを得ないのは、「車道を自転車が走る」という前提での道路整備が進んでいないからでもある。車道の両端に青い矢印を付け、専用通行帯を確保する工夫が松江市内などで施されているものの、路面にひびや溝ぶたがあると、引っかかって車道の中央に投げ出されるのではないかと、緊張感が増す▼行政にとっては自転車のためだけに車道を広げられないという事情もあろうが、専用通行帯を設ける道路についてはラインで区切るだけでなく、路面の修繕にも今まで以上に気を配ってほしい。(万)