今年の新語・流行語大賞の候補に関西弁の「知らんけど」が入った▼地元の人からすると「何で今頃?」ということらしい。人から聞いた話や、内容に責任が持てないことを話す時、最後に付ける言葉として、若者を中心に関西以外でも広まっているようだ▼大阪に住んでいた学生時代の4年間、「知らん」の理解に苦労した。「知らんけど」の前に出す話題が面白いかどうかが重要で、つまらない話の後にうっかり関西人を気取って「知らんけど…」と付け加えると、「知らんなら黙っとけ」と容赦ないツッコミを受けた。他にも、自分が話したことへの受け答えで返ってくる「知らんがな」「知らんし」「知らん」などもいろいろなニュアンスの違いがあるようだが、よそ者には全て拒絶されたようにしか聞こえず、慣れなかった▼今思うと、言葉がきつくてそっけないが、日常会話の中で知らないことでもどんどん話題にする挑戦精神や、他者へのサービス精神に満ちていた。誰でも自由に情報発信ができる交流サイト(SNS)で関西の言葉が広がっているのも分かるような気がする▼2025年の大阪・関西万博は、脱炭素、ロボットなど次世代をリードする技術の紹介がメインだが、マスコットキャラクターの最終候補に「関西のおばちゃん」をモチーフにした作品が出てきたように、前向きで、話好きな関西文化の特長も存分に出してほしい。(万)