人が減ってきた集落をみとる「むらおさめ」を提案する島根大教授の作野広和氏に、過疎の背景と今後の対策を聞いた。
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古くから「たたら製鉄」で栄えた中国山地の集落では、製鉄の衰退に加えて戦後のエネルギー革命による木炭の需要減もあって生活が難しくなり、集落全員が一緒に都市に出る「挙家離村」が続いた。昭和38(1963)年の「38豪雪」、木材の輸入自由化による林業の衰退がこれに拍車をかけた。人口流出によって地域社会が大きな影響を受けたのがこの「第1の過疎」だ。
その後、縫製、電機部品などの小規模製造業と建設業が進出し経済を支えたものの、高齢化と自然減によって緩やかに減る「第2の過疎」に入った。2010年ごろからは、機能の維持が難しい集落の「限界集落」化も課題となっている。
農業集落は...