11月1日に運用が始まったモルテンのテクニカルセンター=広島市西区
11月1日に運用が始まったモルテンのテクニカルセンター=広島市西区
鳥取県が約3億円で購入した「ブリロの箱」
鳥取県が約3億円で購入した「ブリロの箱」
11月1日に運用が始まったモルテンのテクニカルセンター=広島市西区
鳥取県が約3億円で購入した「ブリロの箱」

 島根スサノオマジックが所属するバスケットボールBリーグの公式球を提供しているのがモルテン(広島市)。バレーにサッカーとボールメーカーの印象が強いが、自動車部品や医療・福祉機器などの開発と製造販売も手がけている▼それらの開発拠点は広島市内に分散していたが、広島西飛行場跡地に建設を進めていたテクニカルセンターに集約し、今月運用を始めた。各部門の社員が共同で使える試作室や、ボール製品の実験場となるコートも備えた▼ただ意外なものも。屋外に野菜畑や羊の飼育小屋もある。社員を癒やすのに加え、不釣り合いな場所にある「違和感」が新たな発想につながることを期待しているという。その発想こそ斬新だ▼違和感はここにもある。2025年春に開館する鳥取県立美術館(倉吉市)の目玉として県が約3億円で購入した、米国ポップアートの第一人者アンディ・ウォーホル(1928~87年)の立体作品「ブリロの箱」。「箱は美術なのか」「高過ぎないか」などと物議を醸し、ポップアートを巡る論争が広がっている▼この騒動を逆手に取ったのが平井伸治知事。先日の定例記者会見で、県がウォーホル作品を所有し続けるか否かを、3年程度かけて来館者に投票で判定してもらう考えを示した。これで注目度は開館後も持続できるだろう。高額な購入費はさておき、違和感は確かに新たな発想を生み出すようだ。(健)