八重滝の紅葉を楽しむ観光客=10日、雲南市掛合町入間
八重滝の紅葉を楽しむ観光客=10日、雲南市掛合町入間

 今年は、例年になく紅葉の色づきがきれいだと感じた。あくまでも個人的な見方であり、はっきりとした科学的根拠があるわけではない。ただ、全体的に見頃が訪れるのが早かったとは言えそうだ▼紅葉が進む条件は、最低気温が6~8度くらいと低く、昼夜の寒暖差がはっきりした日が続くことのほか、太陽光が山全体に降り注ぐことなど、さまざま。松江地方気象台によると、こうした要素がそろったのが、昨年よりは少し早く、10月上旬ごろだった▼折しもその頃、外国人の入国制限が緩和され、観光地で散策する人たちで、往時のにぎわいを取り戻した。旧暦10月の「神在月」の時期、出雲地方でも久しぶりに周囲から「乗った飛行機が満席」「ホテルの部屋がいっぱいだった」と弾んだ声が相次いだ。今シーズンの紅葉がきれいに見えたのも、人出の増加とともに、じっくりと外を眺める機会が増えたからかもしれない▼はっきりとした寒暖差の下で紅葉がきれいになるのは、生命維持のため葉を落とす樹木にとっては大変だが、歓迎したい。ただ、こうした寒暖差は特に高齢者にとっては身体の凝りや不眠などの疲労を生みやすいとされている▼加えてコロナ禍による経済の冷え込みと、状況の緩和による回復という〝寒暖差〟が繰り返される今の世の中では、心にもどっと疲労が重なる。来年こそ感染状況に一喜一憂しない心持ちでいたい。(万)