大学入学共通テストに臨む受験生=2025年1月18日、東京都文京区の東大
大学入学共通テストに臨む受験生=2025年1月18日、東京都文京区の東大

 なぜだろう。今でも時々、大学を受験する夢を見る。もう一度受験生になって挑戦しないといけない状況に焦り、立ちすくむ。何の暗示なのか分からないが、30年以上前の経験が深く記憶に刻まれているのは確かだ。

 実家のトイレの壁に破れて変色した紙が貼ってあるのに気付いた。「三角形の合同条件・相似条件」。数学が苦手だった中学時代に高校受験のために書いたものだった。当時の不安や努力が鮮明によみがえった。

 受験を機に自分と向き合って、将来を考える。それだけでも成長だ。挑戦には挫折と喜びがつきもの。結果より過程が大事だ。テレビドラマ『3年B組金八先生』で、金八先生は「一日一日を確かに努力して身につけたものが、君たちの生涯の財産になります」と生徒に語りかけていた。

 教育を巡る状況は大きく変わった。2024年の大学進学率は58・6%となり、40年前に比べて30ポイント以上増え、少子化を要因に「全入時代」を迎えた。高校は「公立離れ」の懸念がある中で授業料が私立を含めて無償化になる。教育の質を担保し、住む場所や家庭環境に左右されず、誰もが挑戦できる場を整えるのは大人の責務だ。

 年が明け、受験シーズンを迎える。街中でかばんにお守りを付けた中学生や高校生の姿を見ると、心の中で「頑張れ」と声をかける。積み重ねてきた時間は無駄にはならない。冬を越え、桜咲く春は必ずやって来る。(添)