デジタルトランスフォーメーション導入の利点を説く渡辺化学工業の渡邉路維社長=浜田市黒川町、島根浜田ワシントンホテルプラザ
デジタルトランスフォーメーション導入の利点を説く渡辺化学工業の渡邉路維社長=浜田市黒川町、島根浜田ワシントンホテルプラザ

 経済産業省が企業に対し導入を推進しているデジタルトランスフォーメーション(DX)について先進企業の事例から学ぶセミナーが浜田市内であった。DXに先駆的に取り組んできた製造業の渡辺化学工業(株)(広島市)の渡邉路維社長が講師を務め、物理的距離を乗り越えた従業員間の交流や働きやすい職場環境づくりなど成果を紹介し、導入の利点を説いた。

 同社では従業員42人のうち、28人が女性。産休育休を取得する従業員も多く、育休中の隙間時間で働きたいという声があり、2013年からテレワークに対応。17年から会社の全ての情報への社外アクセスを可能にした。

 最大で2年取れる育休で、復帰に向けた課題だった「浦島太郎(状態)になることを防ぐ」ために、会社とつながることを重要視。既読機能のないチャットソフトなどを通じた交流で、従業員の不安感を取り除くことができたとした。

 また、感謝を伝えたい従業員に送る「サンクスカード」もデジタル化。顔を合わせる機会が少ない、本社と工場で働く従業員同士の交流につなげ、カードの受け渡し件数は当初から10倍に伸びたと報告した。

 このほか、導入する新しいシステムの選び方のヒントとして、▽直感的に理解できる▽複数人の社員から利用したいという声がある▽無料の使用期間を試す▽使用するソフトの統合でコストダウンにも取り組めるーなどを挙げた。

 セミナーはしまねソフト研究開発センターとしまね産業振興財団が主催し、オンラインも合わせて27人が聴講した。