油彩画、水彩画、アクリル画などを集めた全国絵画公募展「第53回元陽展」で浜田市出身の洋画家・木村静子さん(78)=群馬県在住=が最高の内閣総理大臣賞を受賞した。男女のフラメンコダンサーを100号のキャンバスに鮮やかに描いた。第10回展の初入選から、40年以上出品を重ね、念願の初受賞。喜びをかみしめながら創作意欲を新たにしている。 (宮廻裕樹)
同展は会員約300人の元陽会(本部・東京都文京区)が主催。木村さんの受賞作「グラナダのバイレ」は油彩でスペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿で踊る、男女2人のダンサーを描いた。
奥行きを感じさせる舞台で、ふわっと舞い上がる女性の青いスカート、揺れるストールが躍動感を感じさせ、手や指の先まで神経の行き届いた繊細さもある。
浜田高校を卒業後に上京し、総合商社に勤めていた20歳の時、職場の絵画愛好会で出会い、その後師事した洋画家の斎藤三郎さん(故人)がよくモチーフにしていたのがフラメンコだった。
自身も「絵から感じるリズムやおしゃれな作風に引かれた」と題材として描くようになり、今回はスペインや群馬で鑑賞した舞台の踊り手をモデルに半年がかりで構想を練り、締め切りの3日前に完成させた。
群馬県太田市を活動拠点にしながら2003年に石正美術館(浜田市三隅町古市場)でも個展を開催。親類を訪ねた江津市内で最高賞受賞の喜びを語った木村さんは「曲がりなりにも長年続けられてよかった。描き続けることで精神が鍛えられた。今後もできる限り描き続けたい」と話した。
第53回元陽展は約180点の応募があり、昨年12月に東京都美術館で展示された。