防衛費を増額するのに必要な財源を巡る議論が活発だ。政府は防衛費を大幅に増額する方針を決めた。その財源の一部は増税で賄うという考えもまとめている。

 増税の対象は法人税、所得税およびたばこ税だが、例えば法人増税の具体的な率は曖昧なままだ。なによりいつから増税するか、その期日さえ示されていない。詳細は6月までに決めるという。4月に統一地方選挙を控えているので、それが終わるまでは増税のイメージを強く打ち出さない方がいいとの打算が働いているのかもしれない。

 ただ、与党内にはそうした選挙戦術のことではなく、増税そのものに反対する議員が多いという。物価が上がっていて国民の生活は日に日に苦しくなっている。企業には賃上げを促している。そんな中での増税などありえない。増税するにしても、その時期はもっと先だというのである。

 この意見には一理あるが、それなら防衛費を増額して歳出予算を増やすこと自体を先送りするか、それとも防衛費以外の経費を大幅に削減することで歳出・歳入のバランスをとるべきだ。それが財政運営の筋道である。

 野党を含めて大胆な経費削減により財源は工面できるとの主張もなされるが、...