短歌 安部歌子選

審査の目鋭く光るわが子牛(うし)に握る手綱に汗滲むなり        松 江 古和 嗣男

 【評】自分の子牛が評価を受ける瞬間。手綱を握る手に焦点を当てたことで競りの場での作者の緊張感が伝わってくる。「に」の重複を避け「手綱の」にしたい。

返却の期日迫りてななめ読み読書の秋に欲張り過ぎし       大 田 永野砂由美

 【評】返却日が迫っている。欲張り過ぎたと嘆きつつも作者は明るい。読書好きの作者の日常も感じさせる爽やかな一首。

月蝕の天文ショーに見入る窓銀木...