10年に一度という大雪の降り始めから31日で1週間となる。依然、松江市などの市街地では除雪がままならず、農業被害や物流の混乱による経済活動への影響も明らかになってきた。
【山陰・大雪関連情報 ※随時更新】交通状況、被害は
松江市の市街地は40センチ近い積雪に見舞われた。寒波は和らいだが、歩道や生活道路に残る雪が市民を悩ませる。
「車が突っ込んで来そう。車道を歩くしかなくてかなり怖い」。松江市北田町の無職佐藤勝美さん(71)は、普段歩く道路脇が雪で埋もれる様子を見て顔を曇らせた。北田町交差点を東西に伸びる市道で、車道と歩道ともに除雪はされず、日当たりの悪さからか30日もシャーベット状の雪が残った。足元を滑らせる歩行者がいる中、ドライバー側もハンドルを取られながら歩行者のすぐ横を通り抜ける光景が散見された。
松江市の除雪計画では、国道や県道に接続する主要幹線道路の「一次路線」、一時路線以外のバス路線「二次路線」、地域の生活道路のうち基幹となる「三次路線」と優先順位付けし、さらに車道を優先して除雪を実施している。
特に優先順位が低くなりがちな市道の歩道は、管理者とはいえ、ほとんど手つかずなのが現状だ。1週間近くにわたって断続的な降雪となったため、車道でさえ同じ場所を複数回、除雪する必要が出た。
松江市道路課の門脇晴彦課長は「歩道にまでは手が回らない現状」と理解を求めた上で、各支所で手押しの除雪機を無料で貸し出しており、「市民に協力をお願いしたい」と話した。
今回、松江市内の歩道で除雪されたのは3桁国道や県道を管理する県が、25日に松江市街地を南北にむすぶ「くにびき大橋」周辺での2・7キロにとどまる。
一方、歩道が除雪されなくなったのは地域の高齢化や空き家の増加の影響を指摘する声も。松江市北田町に長年暮らす男性(79)は「以前は家の軒先は、それぞれの家が雪かきし、自然と歩道がつながった。今は雪かきできる若い人がいなくなってしまった」と話した。 (勝部浩文)