立春の4日、松江市の造り酒屋で搾りたての新酒の出荷作業があった。従業員や山陰両県の酒販店関係者が、新酒を車に積み込み、約2500本分の新酒が発送された。
春の訪れをおいしいお酒で祝おうと、全国の蔵元や酒販店でつくる日本名門酒会(東京都)が縁起酒として「立春朝搾り」と銘打ち毎年、企画している。今年は米田酒造(松江市南田町)と簸上清酒(島根県奥出雲町横田)を含め、35都道府県の43蔵元が参加し、約28万本を出荷する。
米田酒造では3日の夕方から島根県産酒米の山田錦を使って仕込んだもろみを搾り始め、4日未明に瓶詰め作業をした。早朝から集まった関係者は、搾りたての純米吟醸酒「豊の秋」とともに須衛都久神社(松江市西茶町)でおはらいを受け、箱詰めされた新酒をトラックに次々と積み込み、各店に発送した。
今年は寒い日が続いたため、発酵させるのに苦労したというが、米田則雄社長(75)は「すっきりしてやや甘めに仕上がった。朝一番に搾ったフレッシュな味わいを楽しんでほしい」と話した。各酒販店では予約者に優先的に届けられ、店頭にも並ぶ。