自分の腕一本で生きられると信じていた。「こうなったら辞表を出すしかない」。とどまる選択肢は頭になかった。柳田尚久(65)は2008年3月、11年間勤めた茨城大付属小学校を退職し、28年間の教員生活に別れを告げた。50歳だった。

 茨城県の公立小中学校の勤務を経て同校に赴任した。授業研究に対する熱意や、1人の児童のことを教員みなで徹底的に話し合う雰囲気が水に合った。尊敬する先輩からも「この学校に骨をうずめなさい」と言われ、道を定めたつもりだった。

 ところがその頃同...