県民の一人として少々、後ろめたさを感じている。「美肌県」をアピールし、観光プロモーションを展開する島根県。その根拠となるのが、化粧品大手ポーラ(東京)が毎年行う「美肌県グランプリ」の好成績である。2018年までの7回のうち5回も「日本一」の称号を獲得。19年にプロモーションを本格化させた▼ところが、同年の休止を経て再開された20年以降は、石川県が総合順位で3連覇。島根はトップ3を逃している。取り組みをくさすつもりはないが、胸を張って「美肌県です」と県外者に名乗るのは気恥ずかしい▼日本一の座を守り続けるのは並大抵のことではない。米国の専門誌の日本庭園ランキングで20年連続日本一に選ばれた足立美術館(安来市古川町)。専属庭師5人が毎日手入れしているほか、開館前に職員総出で清掃し、維持管理に努めているという。頭が下がる▼そんな島根に新たな日本一が加わった。総務省統計局の21年社会生活基本調査で、ボランティア活動行動者率が初めて全国1位になった。10歳以上人口に占める、過去1年間にボランティア活動を行った人の割合。幅広い層の参加を裏付ける▼足立美術館と重なるのが献身的な姿勢だ。昨年12月の国宝松江城マラソンでも、高校生らがボランティアとして活躍していた。調査は5年に1度しか行われない。当面は「ボランティア県」と胸を張ってアピールできる。(健)