前回に続き、記紀神話にみえる神酒(みき)と酒造りに関する主な伝承を紹介する。

 オ、「酒楽(さかくら)の歌」(『古事記』仲哀天皇条)別記参照・「寿(さかほかひ)」(『日本書紀』神功皇后紀、摂政13年条)

 『古事記』の当該箇所を意訳してみよう。

 御子(みこ)(のちの応神(おうじん)天皇)が気比(けひ)大神のもとから大和へ帰るに際し、母君(ははぎみ)の息長(おきなが)帯比売(たらしひめの)命(みこと)(神功皇后(じんぐうこうごう))はその無事を願う...