隠岐諸島でノアザミの変種とされる「オキノアザミ」が花を咲かせている。道端や草地に自生する紅紫色の鮮やかな花が、初夏の島々を彩っている。
本土のノアザミに比べて葉の周りが鋭くとがり、極細の針のようなとげを持つのが特徴で、人がむやみに触ると刺すような痛みを伴う。牧草地で育つ隠岐の牛馬に見向きもされないため、自生地を広げたといわれる。
隠岐の島町蛸木の公共牧野では、オキノアザミが草地の一角に取り残されたように背を伸ばす。日本海から吹く風に揺れ、中ノ島(海士町)や四敷島(隠岐の島町津戸)をバックに華麗な立ち姿を披露している。
花は8月ごろまで咲く。島根自然保護協会の野津大理事(77)=隠岐の島町卯敷=は「この時季ならではの風景だが、美しい花にはとげがある、との言葉を体現したような隠岐独自の植物」と説明した。
(森山郷雄)