奈良時代初めの諸国の地誌、『風土記(ふどき)』には、地域色豊かな土着の神話伝承がみえる。神酒(みき)に関わる主な記述を2回に分けて紹介しよう。

 一、『播磨国(はりまのくに)風土記』(当該部分を抜粋、意訳)

 ア、賀古郡(かこのこほり)条

 「景行天皇が結婚の儀のために、神酒を醸(かも)す「酒殿(さかどの)」を建て、その地を「酒屋村(さかやのむら)...