コンパクトカメラを片手に雑踏へ出て、風景や人物を撮ることが好きな人なら、「世界の森山大道」は憬れ、畏敬の対象だ。しかし、当の森山さんはとても気さくで、飄々(ひょうひょう)としている。
世界的写真家・森山大道さん 思い出や写真に臨む姿勢を語る(Sデジオリジナル記事)
「撮る理由なんて考えない。考えたらスナップ写真なんか撮れないですよ。その時、その一日、自分の体調、天気に合わせて、ぼくが感覚したその一瞬を、バチッと撮る」
12日から、松江市袖師町の島根県立美術館で開かれている森山大道「光の記憶」展。
表現者としての森山さんを世に知らしめた「にっぽん写真劇場帖」(1968年)の作品群に始まり、森山さんと同い年で「生涯の友」である写真家の中平卓馬さん(1938~2015年)らが創刊した前衛的な同人誌「プロヴォーク」への参加、青森・三沢で撮影した代表作「犬の町」はこれまでも写真展や媒体で目にした人も多いだろう。そして、新宿からブエノスアイレス、ハワイへと世界の街頭へ歩みを進める。現在、84歳の森山さんが60年間撮り続けた作品を余すところなく出した、まぎれもない集大成だ。
森山さんの写真への向き合い方はシンプル。でも、それが...