人里離れた中山間地域なのに大勢の人が行列を作っていた。兵庫県の山あいにある卵かけご飯専門店はこの14年間、週末の行列が途切れないという。同級生が都市部に出ていく中、「地元で一旗揚げる」と養鶏と米作りを継いだ男性が試行錯誤の末に成功させた、とテレビ番組で先月紹介していた▼山陰にも隠れた人気スポットがある。鳥取県日野町の金持(かもち)神社。縁起のいい名前に引かれ、金運、開運を求めて全国各地から多くの人が訪れる。「金持」は地名で「黄金にも勝る」と大切にされた鉄の産地だったことに由来するらしい。何が人気に火を付けるか分からない▼個人的にひそかに注目している場所がある。江津市金田町にある「千金」。読み仮名は「ちがね」ながら「一獲千金」を連想させる縁起のいい名前だ。金持同様に、山から鉄が豊富に採れたことに由来するという▼かつて千金と名乗った村名は1875(明治8)年に江の川上流の田野村(現田野地区)と合併して金田村(現金田町)となったのを機に消えたものの、江津市と広島県三次市を結ぶ三江線の駅名として、1958(昭和33)年に復活した▼その三江線の廃止から、間もなく3年を迎える。せっかくの名前を廃らせてしまうのはもったいない。周辺を彩る山桜やツツジと合わせて〝一獲千金の里〟としてアピールできないか。仕掛け次第で「値千金」の名所が生まれる予感がする。(健)