チャットGPTの仕組み
チャットGPTの仕組み

 未来を創る子どもたちへ。

 まるでドラえもんがおなかの四次元ポケットから取り出した「ひみつ道具」のようだと思いませんか?

 「チャットGPT」-

 インターネット上の大量のデータを学習し、利用者が入力した質問や指示に人工知能(AI)が文書などで答える自動応答ソフトのこと。米国の新興企業オープンAIが開発しました。

 利用者が質問すると、すぐに自然な文章で回答するため、仕事で使った場合、資料やメールの作成、データ集めといった作業の効率化につながる可能性があると期待されています。

 政府も国会答弁など行政分野での活用を検討しています。文章の作成をはじめとした業務に役立て、職員の負担を軽くできると考えているためで、こうした動きは自治体や民間企業にも広がっています。

 一方で鳥取県の平井伸治知事は、県職員の政策決定や議会答弁資料の作成、予算編成での使用を禁止していることを明らかにしました。「自治体の意思決定はAIではなく、地域で話し合い決定すべきだ」と指摘。AIに質問する際に個人情報や県政の機密情報が漏れる懸念も理由に挙げています。

 チャットGPTは便利なのですが、問題点がいくつかあります。その一つが、誤りや過去の古い情報、差別的な表現が含まれる危険性です。

 例として本紙デジタル版(Sデジ)で掲載した記事の一部を紹介します。

 チャットGPTに「島根県の新聞社、山陰中央新報社について教えて」と質問しました。

 回答は「島根県を中心に配信している地方紙です。創業は1946年で、本社は島根県松江市にあります」「島根県内にとどまらず、鳥取県や岡山県などにも配信しており、地域にとらわれない視野も持ち合わせています」…

 おおむね正しいのですが、本紙の前身となる山陰新聞の創刊は1882(明治15)年で、昨年5月1日に創刊140周年を迎えたばかり。岡山県も主要エリアではありません。要は全てを信じることはできないということです。

 もう一つ心配されているのが「考える力」の低下です。

 例えば、学校の授業で作文の宿題が出たとします。テーマをはじめ必要な要素をチャットGPTに入力すると、違和感のない滑らかな文章が返ってくるでしょう。ただし、そこには、でたらめな内容が含まれていることもあります。

 それに、そんな道具に頼ってばかりいると、自分で考える力がおろそかになり、いざ学校で作文を書く際に、何をどう書いていいのか分からなくなるかもしれません。作文だけでなく、算数・数学など他の科目でも、問題文を理解するには、普段から文章に親しみ、読み解く力が必要になります。

 思い出してください。ドラえもんも多くの「ひみつ道具」で友達・のび太君の身の回りに起きた難題を解決するものの、のび太君が不適切に使い続けた結果、しっぺ返しを受けるのが、よくあるパターンです。使い方を間違えて痛い目に遭うのは、チャットGPTも同じかもしれません。

 未来を創る皆さんにお願いです。新しい道具に頼り過ぎず、自分で考える力を忘れないでください。