ゴードン・ライトフットのアルバム「サマータイム・ドリーム」
ゴードン・ライトフットのアルバム「サマータイム・ドリーム」

 カナダのシンガー・ソングライター、ゴードン・ライトフットが亡くなった。享年84。カナダを代表する歌手の一人で、多くのヒット曲を生み出した。

 代表曲の一つ「エドモンド・フィッツジェラルド号の難破(The Wreck Of The Edmund Fitzgerald)」に引かれる。カナダと米国の国境に位置する五大湖の一つスペリオル湖で1975年11月に起きた貨物船の沈没事故を題材にして、翌76年に発表した曲だ。

ゴードン・ライトフット氏=1987年撮影(AP=共同)

 全長220メートルもある米国の貨物船エドモンド・フィッツジェラルド号は強風警報が出る中で出港して遭難。沈没して乗組員全員が帰らぬ人となった。ちなみにスペリオル湖は世界最大の淡水湖で面積は8万2360平方キロ。宍道湖(79平方キロ)のおよそ千倍の規模がある。

 そんな大きな湖で起きた惨事を歌った6分半に及ぶ曲。ヒットチャートをにぎわす普通の曲の倍近い長さにもかかわらず、いわゆる「さび」のような聞かせどころがあるわけではない。最初から最後まで同じメロディーを繰り返しながら、抑制的に歌うボーカルと、バックで響くスティールギターの音色が相まって、もの悲しさが伝わってくる。

 歌詞を知れば、なお悲しい。2万5千トン以上の鉄鉱石を積んだ船は米国の誇りであったこと、強風が吹く中で浸水が始まり最後には水底へと沈んでいったこと、亡くなった乗組員一人一人のために教会の鐘が計29回鳴らされたこと…。情景が目に浮かぶような描写で一つの物語としてメロディーに乗せている。

 76年8月に米ビルボード・シングルチャート入りし最高2位まで上がった。彼にとって、74年に1位に輝いた「サンダウン」に次ぐ米国でのヒットとなった。(洋)
 

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