松江市島根町大芦の須々海(すすみ)海岸
松江市島根町大芦の須々海(すすみ)海岸

 「海を眺めるのにいつの時季が最適か」という問いに答えるのは難しい。日本海、太平洋、東シナ海といった海域、また、見に行く人の置かれた状況によって答えは千差万別である▼個人的には自ら足を運んだり、山陰の日本海を県外の人たちに積極的に紹介したりするのは、5月と11月が最適だと思っている。科学的根拠があるわけではない。共通するのは、海水浴などのレジャー目的で海面に近づく夏でもなく、何人も拒絶するかのような荒くれた冬でもない適度な距離感があることだ▼特に5月は、エメラルドグリーンに染まる遠浅の海面を高い位置から見るのが楽しみ。日本海でエメラルドグリーンといえば、鳥取県岩美町の浦富海岸や、山口県下関市の角島大橋付近の景観が代表的だ▼島根県内を見ると、島根半島や石見地方の海岸は総じて突き抜けた明るさはないものの、松江市美保関町の笹子浦や、同市島根町大芦から鹿島町御津にかけての海岸の透明度には目を見張るものがある。かつて日本海を就航した北前船がもたらした文化の名残でもある、石州瓦の集落との対比も美しい▼島根半島の一部は、28日に開催される「えびす・だいこく100キロマラソン大会」のコースにもなっている。ハードな行程で、なかなか景色を楽しみながらというわけにもいかないが、日々変わる日本海の表情の豊かさを感じられる、またとない機会である。(万)