▽短歌 寺井 淳選

楽譜より消えゆく音符グールドのシェーンベルクが夏を吐き出す  雲 南 熱田 一俊

 【評】バッハと並びシェーンベルクを愛した稀代のピアニスト、グレン・グールド。その音楽が初二句に的確に表現されている。〈間(ま)〉なのである。

鼻歌の続きへ声がかさなって夕暮れ近く我が家のあかり      松 江 須山 吉雄

 【評】お腹をすかせて夕飯の待つ家に帰ってくる夕暮れ時、という情景が浮かんでくる。今では神話的とさえ思われる昭和の風情が漂っている。

絵本持つ指先目立つ書画カメラ読み聞か...