▽短歌 寺井 淳選

ふきのとう見つけて父に供すれば人生の味とボソッと言った    奥出雲 中林 正子

 【評】「人生の味」とは少しきざにも感じるが、父上のことばは「ボソッと」でありそこに朴訥(ぼくとつ)な人柄と、何気ないことばの不思議な力が生まれている。

焼きソバを肉も野菜も大切りにレシピ見ながら孫はつくりおり   出 雲 松井 和子

 【評】料理の歌はおいしそうなのが一番。ここでは「大切りに」というところが生きている。焼きそばはそうでなくては。右の歌もこの歌も、こころを食...