▽短歌 寺井 淳選

いい男だったよねえと妹と供えてわらふ弟へのショコラ      松 江 森脇よし子

  【評】出だしのひと言が昭和歌謡のようにしみてくる。「わらふ」心に無上の思いがこもり、これも相聞のひとつの姿である。

雨風にぬれて花材を積み込んで今日は生け花研究会へ       江 津 餅田美代子

  【評】上句の調子のよいリズムが、研究会を楽しみにしていた気持ちをよく伝えてくれる。「雨風」に濡れてもこの楽しさには替えられないと。

我と同じ携帯持たぬ人もいて緑の電話に会...