インド市場の特色や進出の際の留意点について説く手嶋友長氏
インド市場の特色や進出の際の留意点について説く手嶋友長氏

信頼できる現地パートナーを

 山陰インド協会インド支部長で、現地ですしのオンライン宅配事業(Sushi Junction)、ギグワーカー派遣事業(OkayGo)を展開している起業家の手嶋友長氏(47)=境港市出身=に、インド市場の特色や進出の際の留意点を聞いた。

─インド市場の現状は。

 「不動産価格は高騰し、ショッピングモールの人出が多い。目下、コロナ禍が明けて経済が順調に復活した印象だ。1人当たりGDPは車や家電といった耐久消費財が売れる2千ドルに達したが、平均値でインドを捉えては見誤る。全体で見るとまだまだ貧しい人が多い。富裕層か貧困層、間違いなくターゲットを絞った方がいい。お金に余裕のない消費者・企業が大半なため、絞り込んだターゲットに複数サービスを提供する水平的な事業展開が適している」

─事業の成功に欠かせないことは。

 「一番は、時間をかけて現地の信頼できるパートナーを見つけること。非常に多様で容易には理解できない固有の文化に入り込んでいくためには不可欠だ。とはいえ、現地の人にとって日本人と組むうま味は特にないことを前提に動く必要がある」

 ─現地人との関係性を築くための一手段として、在印スタートアップ企業への投資を勧める。

 「スタートアップへの投資を足がかりに、進出を考えていくやり方は、今の時代に適している。インドでは2021年だけで40社以上のユニコーンが生まれ、ストーリー性や可能性がある企業がアーリーステージに数多くある。日本で眠っていた100万円が大きなインパクトを与え得る。自社の関連業界のスタートアップに少額出資すれば、情報が得られる。そこから人柄などを見て増やしていく展開も考えられる。関係性が構築できて、パートナーになり得る」