今回は40位から31位まで。

40位「マイ・トゥルー・ラヴ」(歌)ジャック・スコット
 ジャック・スコットはカナダ出身の白人シンガー。シンプルな構成のロッカバラードでボーカルとそれをもり立てるドゥワップコーラスが特徴的。コーラスのシャントーンズはこの頃の数年間はスコットのバックコーラスを担ったグループだが、残念なことに彼ら自身はヒットを生み出すことができなかった。「マイ・トゥルー・ラヴ」のみならずB面の「リロイ」もヒット。こちらは「監獄ロック」風なロカビリーナンバー。

39位「フーズ・ソゥリー・ナウ?」(歌)コニー・フランシス
 60年代に入ってからブレイクしたコニー・フランシス。そのきっかけを作ったのがこの曲だった。オリジナルは20年代に発表されたインスツルメントナンバー。この時代は、♪5匹の子ブタが5匹の子ブタがラジオを聴くと…♪の歌詞で有名なチャールストン(ダンスの一種)が流行していて、アレンジもそれに合わせたチャールストン風だった。フランシス盤では、R&B風なベースラインにピアノの3連符の和音を加えるなどビリー・ボーン楽団が演奏しているのではないかと思わせるようなムーディーなスタイルにリメークされた。

38位「スプリッシュ・スプラッシュ」(歌)ボビー・ダーリン
 風呂に入ってリラックスしていた主人公がバスルームから出てみたららんちき騒ぎのダンスパーティーが始まっていたのでびっくりしたけれど、あまりに楽しそうなのでその輪に加わってしまったうんぬんが歌われるロックンロールナンバー。スプリッシュ・スプラッシュとはパシャパシャというような水の音のことを言うらしいが、イントロで聞こえる水の音は、筆者の耳ではなんだかトイレの使用後のように聞こえる…。ボビー・ダーリン初のミリオンセラーヒット。

37位「ロリポップ」(歌)コーデッツ
 元々はロナルド&ルビーという白人と黒人の女性ソングライターコンビが作って歌ったのがオリジナル。今でも1年に1回くらいはどこからか聞こえてくるほどポップスのスタンダードナンバーとなった。「ビルボード・トップ100~1955年その4」でも取り上げたコーデッツは女性4人組で、リードが主旋律を歌い他の3人がコーラスを付けるバーバーショップスタイルのコーラスグループ。フットステップ(靴音)のイントロから始まるのだが、歌の入るタイミングが小節の1拍目ではなく、4拍目から入るというのが珍しいというか不思議というか間違っているのではないかと。カラオケでまともに歌おうとすると歌の入るタイミングを何回か練習する必要がある(歌ったことはないが)。

36位「グレート・ボール・オブ・ファイア」(歌)ジェリー・リー・ルイス
 邦題「火の玉ロック」。派手な動きに加えピアノをたたきながら歌うロカビリースタイルの歌唱が持ち味だったジェリー・リー・ルイス。前年の57年にも「ホール・ロッタ・シェイキング・ゴーイング・オン」で年間28位にチャートイン。

35位「ショート・ショーツ」(歌)ロイヤル・ティーンズ
 TV番組「タモリ倶楽部」のタイトルソングに使われていた曲。ゆったり目のロックンロールで女性ボーカルのノーテンキさが際立つ。ロイヤル・ティーンズの4人のメンバーのうち、この曲の共作者だった当時15歳のボブ・ゴーディオは、60年代にはフランキー・ヴァリとともにグループの中心メンバーとなった。

34位「ティアーズ・オン・マイ・ピロウ」(歌)リトル・アンソニーとインペリアルズ
 シンプルな構成のバラード調ドゥワップ。リードボーカルのリトル・アンソニーは美声の持ち主として後世に名を残したが、バックのコーラス陣も力強く調和の取れたハーモニーを聞かせてくれた。アンソニーがソロになってしまい、残されたグループ名(インペリアルズ)は残ったものの、他のボーカルグループ同様オリジナルメンバーは数年後に一新されてしまった。

33位「ティー・フォー・トゥ・チャチャ」(演奏)トミー・ドーシー・オーケストラ
 元々は20年代にヒットしたミュージカルの曲。50年代になって映画化され、キューバのリズム、チャチャチャにアレンジして演奏したのがトミー・ドーシー・オーケストラ。楽団の名前はトミー・ドーシー・オーケストラとなってはいるが、トロンボーン奏者でもあったトミー・ドーシーは56年に既に亡くなっていて、その後引き継いだのは、同じ管楽器奏者だったウォーレン・コヴィントン。「ティー・フォー・トゥ・チャチャ」は彼のリーダーシップのもとで演奏されレコーディングされた。

32位「ブック・オブ・ラヴ」(歌)モノトーンズ
 モノトーンズは以前言及したことのある一発屋ことワンヒットワンダーの仲間。この他にもよりポップな「フールズ・ウィル・ビー・フールズ」やバラード系の「フォーエヴァー・ユアーズ」「ユゥ・ネヴァー・ラヴド・ミー」、19世紀のホラー小説を題材にした「ザ・レジェンド・オブ・スリーピィ・ホロウ」、同じくホラー系で曲中の絶叫が印象的な「ゾンビ」などをリリース。実力はあったかもしれないが、いささか運に恵まれなかった。

31位「ルッキング・バック」(歌)ナット・キング・コール
 R&Bのカテゴリーに入るが、ポピュラーミュージックといっても全く違和感のない曲で後に多数のカバーが出現。ナット・キング・コールと聞くと不世出のシンガーというイメージだが、アーティストとしての初期はピアニストとしてジャズのトリオを率いていた。歌を歌うようになったのは、あるクラブで「スイート・ロレイン」という曲を演奏していた時に酔客から歌も歌えと絡まれ、仕方なく歌ったところ、聴いていた観客から大絶賛を受けて気を良くしたことがきっかけといわれている。ちなみに彼がキングといわれるゆえんは、絡まれても、またやじられても反抗的な言動を一切しなかったからだとか。(オールディーズK)

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