がんサロンでAYA世代のがんとの向き合い方を話す奥紗央里さん=松江市東忌部町
がんサロンでAYA世代のがんとの向き合い方を話す奥紗央里さん=松江市東忌部町

 松江生協病院の薬剤師・奥紗央里さん(29)が「AYA世代」(15~39歳)のがん患者に代わり、闘病の実態を伝える活動を始めた。大学生の頃、友人が胃がんを患い、中年以上の病気とのイメージが変わった。AYA世代のがんは上の世代とは異なる悩みがあるが、認知度は低い。「患者さん自らは伝えづらいこともある。自身の経験とともに多くの人に伝えたい」と先を見据える。 (古瀬弘治)

 「AYA」とは「思春期・若年成人」を指す英語の略語。小児のがんと成人のがんがともに発症する可能性があり、肉腫などこの世代に多いがんもある。進学や就職、結婚といった人生の節目と重なることも多く、一人一人に合う支援が必要とされる。ただ、中年以上のがん患者と比べ、AYA世代のがん患者は極めて少なく、認知度は低い。

 奥さんが大学生の頃、友人の24歳女性が胃がんと分かった。それまで「若い世代ががんになるのはテレビの中の話と思っていた」。友人は就職したばかりの頃で驚き、戸惑っており、どう接したらいいか分からなかった。一緒に悩み、気持ちに寄り添う中で、患者との接し方も考えてきた。

 AYA世代のがんについて伝えようと思ったのは、「代わりに伝えてほしい」という友人の言葉がきっかけ。3年前、松江市内の病院のイベントで講演。今月15日には市内の地域型がんサロンでも語った。

 「化学療法は妊娠が難しくなる可能性があると伝えられた」「がんのことを伝えると、いい顔をされないことが多々あった」などと友人の体験を代弁した。家族や友人はどう関わったらいいのかも自らの体験を交え、自分なりに説いた。

 今後も機会をとらえ、AYA世代のがんについて伝える活動を続けるつもり。「大学生の時の経験もたまたまじゃなかった。闘病の先の幸せを信じてもらうためにも、発信を続けたい」と力を込める。