「家族の伴走者になりたい」と話す山上育子さん=出雲市内
「家族の伴走者になりたい」と話す山上育子さん=出雲市内

 カウンセリングを通して親子の悩みの解決を図ろうと、出雲市今市町の産婦人科医、山上育子さん(45)が家族支援の相談業に力を注いでいる。約20年の病院勤務で生まれた、親子に長く寄り添いたいとの思いが根底にある。

 島根県内の病院で働きながら、出産後に授乳がうまくできず号泣するなど不安を抱える母親を多く見てきた。そうした中で心理カウンセラーの資格を取り、ささいな相談にも乗ることにやりがいを感じていたという。

 勤務医を辞めて家族支援メンタリングサービス「opal(オパール)」を立ち上げたのは昨年10月。「産婦人科医としては産後1カ月までしか関われないが、子育ての悩みはその後に出てくる。個々の親子を長い時間かけてサポートしたい」との思いが高まったからだ。

 LINE(ライン)やインスタグラムを介し、乳幼児期や思春期のさまざまな悩みが寄せられる。保護者、子どもを別々にカウンセリングし、互いの不安要素を探りながら解決に向けて支援する方法を取っている。

 多いのは不登校についての相談。母親が近所や親族の目を気にして「今日も行かないのか」と子どもに声をかけ続けるケースがある。これは子どもの自己肯定感を下げてしまう。学校に行くという目先の目標からいったん離れ、将来どんな人生を歩んでほしいか、学校に行くことが本当に必要かと考えながら生き方の選択肢を広げてみる。余裕が生まれ、母と子の信頼関係が徐々につくられ、子どもの気持ちを外側に向けられるようになるという。

 「伴走者として家族の支えになりたい」と山上さん。より良い親子関係づくりに向け、双方の言葉に耳を傾ける。

 問い合わせはインスタグラムのDM(ikuko_opal)で。(坂上晴香)