国立公園・三瓶山で50年ぶりに開催された全国植樹祭は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延期、天皇陛下の行幸啓(ぎょうこうけい)がオンラインに切り替わるなどこれまでにない大会となった。こうした中、半世紀前に昭和天皇が植樹したクロマツを陛下が切られる初めての「御収穫」は、島根県から全国に呼び掛ける「循環型林業」を象徴する場面として、全国に発信された。 (錦織拓郎)
26都道府県の招待者がオンライン参加となる異例の大会となったが、三瓶のスクリーンに、緑に包まれた東京・元赤坂の赤坂御用地や、天皇、皇后両陛下が映し出されると、会場が一体となった。
三瓶の式典会場となった北の原では、出席者は草原に置いた椅子で約2メートルの距離を取って着席。約1万人が会場につどった2年前の愛知大会とは異なる様相となったものの、丸山達也知事は「この状況下では最善だった。県民の努力あってこそだ」と強調した。
国体、国民文化祭、全国豊かな海づくり大会を含む「四大行幸啓」では初となるオンラインの手法を使い、半世紀前に植樹したクロマツを陛下が切られる初の「御収穫」も、赤坂御用地の荘厳な雰囲気の中で滞りなく行われ、丸山知事は「来県いただいた場合と遜色ない式典が開催できた」と述べた。
コロナがなければ、両陛下が会場で臨席されるはずだった「お野立所(のだてしょ)」は、今秋、市内に開業予定の道の駅「ごいせ仁摩」(大田市仁摩町大国)に展示する。
地元・大田市の楫野弘和市長は、植樹祭開催の理念はこれらもアピールし続けるとし「コロナ禍の「御収穫」中で今やれる精いっぱいのことはできたと思う。われわれのメッセージは、全国に伝わったと受け止めている」と述べた。