男性の頭をした人魚を精巧に表した「リアルマーメイド」に見入る来場者=鳥取県日南町霞、町美術館
男性の頭をした人魚を精巧に表した「リアルマーメイド」に見入る来場者=鳥取県日南町霞、町美術館

 【日南】中年男性の顔をした人魚や頭にエビフライが乗った人といった独特な着想で作品を生み出す彫刻家・ねがみくみこさん(40)=東京都=の企画展「ホルモンと情熱のあいだ」が鳥取県日南町霞の町美術館で開かれている。不思議な世界観が来場者を魅了している。

 東京芸術大大学院を修了し、彩色した木彫りを主に手がける。夢で見たイメージや町で見かけた風変わりな人をヒントに既成概念を揺さぶる作品を生み出す。

 会場には約70点を展示。「リアルマーメイド」は頭が中年男性で、胴体が魚の人魚が泳ぐ姿を表現。一般に人魚はかわいらしい女性で表されるが、実在すればこうした人魚もいるはず、という思いを込めた。

 「わんこいす」は苦み走った顔つきの犬の形をした椅子で、彫刻界で実用品が敬遠される風潮へのユーモラスな挑戦になっている。

 米子市皆生温泉1丁目のアルバイト、塩崎琴音さん(23)は「発想が面白い上に、精巧で芸術品としてもすごい」と楽しみ、ねがみさんは「展示のテーマはばからしく。美術は堅苦しい、難しいという見方が変わるといい」と話した。

 8月20日まで。月曜休館。入館料は一般500円、高校生以下無料。午前8時半~午後5時。(佐貫公哉)