全面開業した高さ日本一のビル「あべのハルカス」前で、テープカットする関係者=2014年3月7日、大阪市阿倍野区のあべのキューズモール
全面開業した高さ日本一のビル「あべのハルカス」前で、テープカットする関係者=2014年3月7日、大阪市阿倍野区のあべのキューズモール
「あべのハルカス」の展望台から景色を楽しむ人たち=2014年3月7日
「あべのハルカス」の展望台から景色を楽しむ人たち=2014年3月7日
全面開業した高さ日本一のビル「あべのハルカス」前で、テープカットする関係者=2014年3月7日、大阪市阿倍野区のあべのキューズモール
「あべのハルカス」の展望台から景色を楽しむ人たち=2014年3月7日

 日本一から陥落-。といっても、宍道湖産シジミの漁獲量や鳥取県産二十世紀ナシの生産量がトップの座から落ちたわけではない。高さ300メートルで「日本一高いビル」だった「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の話である▼ハルカスが296メートルの横浜ランドマークタワー(横浜市西区)を抜き、全面開業したのが2014年3月7日。翌日の本紙には「通天閣がちっちゃく見える。高すぎて壁際はちょっと怖い」という地元客の感想が載っていた▼今春91歳で亡くなった彫刻家の澄川喜一さん(島根県吉賀町出身)がデザインを監修した高さ634メートルの東京スカイツリー(東京都墨田区)を筆頭に、「高さ日本一」は首都圏のものと相場が決まっていた。それだけに同じ西日本の一員として留飲を下げたものだ▼ところが先日、高さ330メートルを誇る超高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」が東京都港区に完成。27年度には390メートルの「トーチタワー」が東京駅近くにできるという。日本一の座を東京に譲り、ハルカスは2位、そして3位に落ちてしまう▼とはいえ、その価値は下がらない。ハルカスの名は『伊勢物語』にも登場する古語「晴るかす」に由来する。「人の心を晴れ晴れとさせる」という意味があり、ビルの上層階から晴れやかな景色を見渡して爽快感を味わってほしいと名付けられた。展望台から見える通天閣の「ちっちゃさ」は変わるまい。(健)